ポーランド大統領、EUの圧力にもかかわらず暗号資産規制法案を拒否

出典：CoinEdition
原題：ポーランド大統領、EUの圧力にもかかわらず仮想通貨規制法案を拒否
元リンク：https://coinedition.com/polands-president-rejects-crypto-regulation-bill-despite-eu-pressure/

• この法案は、MiCA（暗号資産市場規則）に基づくEU全体の仮想通貨規制をポーランドで実施することを目的としていた
• 署名されれば、国家金融監督機関であるKomisja Nadzoru Finansowego（KNF）に仮想通貨サービスプロバイダーに対する広範な権限が与えられることになっていた
• ドナルド・トゥスク首相は、政府ができるだけ早く法案を議会に再提出すると述べた

ポーランド大統領カロル・ナヴロツキ氏は、国内の暗号資産市場を規制する法案に対し、憲法上の特権を行使して拒否権を行使した。この法律は、MiCA（Markets in Crypto-Assets）に基づくEU全体の仮想通貨規制をポーランドで導入することを目的としていた。

この法案は、今年11月初めに上院による一部修正を経てすでに議会を通過していた。

署名されれば、国家金融監督機関であるKomisja Nadzoru Finansowego（KNF）に仮想通貨サービスプロバイダーに対する広範な権限が与えられることになっていた。これには許認可義務、報告要件、制裁措置の実施や、基準を満たさない企業のウェブサイトをブロックする権限も含まれる。

拒否権の理由

大統領府によれば、拒否の主な理由の一つは、ウェブサイトを無制限に遮断できる権限だった。つまり、この法案では規制当局が仮想通貨プラットフォームやサービスプロバイダーのウェブサイトを「ワンクリック」でブロックできるようになり、この点をナヴロツキ氏は不透明かつ悪用されやすいと指摘した。

これにより、ユーザーは突然アカウントにアクセスできなくなったり、資金へのアクセスを失う可能性があった。

もう一つの理由は、法案の草案が100ページを超える分量であり、近隣国（例えばチェコやスロバキアなど）の類似する仮想通貨規制法と比べてもはるかに長く複雑であることだ。ナヴロツキ氏は、その膨大な分量と複雑さが中小企業やスタートアップによるポーランドでの事業展開を困難にすると主張した。

また、大統領は高額な規制手数料についても批判し、それは大手外資系銀行や大企業しか支払えないと述べた。これにより、ポーランドの小規模な仮想通貨スタートアップが生き残れず、イノベーションを阻害し健全なローカル市場の発展を妨げると考えた。

大統領は声明で、規制自体は必要だが「合理的で、比例的で、ユーザーにとって安全でなければならない」とし、新たな法案はその基準を満たしていないと述べた。

トゥスクの反撃：「暗号王」防衛

政府は迅速に反応し、ドナルド・トゥスク首相はできるだけ早く法案を議会に再提出すると述べた。

トゥスク氏は、この拒否権行使は誤りだとし、この法律は仮想通貨に投資するポーランド国民を詐欺や搾取から守るために設計されたものだと指摘した。