年を重ねてもなお運命の存在に気付かないのであれば、「悟性が低すぎる」としか言いようがない。

人は誰しも、モデリングが始まった瞬間から、それぞれ自分なりのドラマを演じている。局所的に見れば、誰もが自分の物語の主役だ。しかし全体で見れば、主役になれるのはごくわずかで、大多数の人はこの人生でNPC（ノンプレイヤーキャラクター）として、主役を支えストーリーを進める役割に過ぎない。

普通の人の最大の問題は、モデリングがうまくいかず、出発点が低すぎる場合、人生で最も貴重な数十年を無駄にしてしまうことだ。たとえ後からゲームの仕組みを理解しても、すでに中年を迎えてからでは、再度盛り上がろうとしても心はあっても力が及ばない。

だからこそ、正しい戦い方は、自分に与えられた台本で、その役を演じることだ。多少アドリブを加えるのは良いが、主役を差し置いて目立とうとしてはいけない。主役の運命を持っていないのに主役の役割を奪えば、システムからのしっぺ返しを受けるのは目に見えている。

例えば、なぜ李自成が死ぬと、彼の軍隊はすぐにバラバラになり、まとまりを失ったのか？

それは、李自成と共に反乱を起こした者たちが、彼には天命があると信じていたからだ。だからこそ、自分たちは天の道に従い、明朝を倒せば少なくとも「従龍の功」を得られると思っていた。しかし、李自成が農民に鍬で打たれて死んだ後、皆は悟ってしまった。李自成は「真の龍の天子」ではなかった、と。だから明朝に投降したり、清に降ったりした。

つまり、自分が主役かどうかは、自分よりも他人の方がよく見抜いている。人間は本能的に利を求め害を避けるものであり、いわゆる「投資」も、あなたがまだ上昇期にあると見て、その利益を分け合いたいだけだ。逆にあなたがダメになり、下り坂に差し掛かったと見れば、追い打ちをかけられないだけでも十分ありがたいくらいだ。

要するに、人には自分の能力に見合ったことしかできない。事業とは、能力を形にした結果に過ぎない。逆に、能力が伴わないのに場を大きくし過ぎると、やがて外見ばかりで中身がないことが露呈する。その時、木が倒れて猿が散るだけならまだマシで、誰かがあなたを踏みつけて他所で手柄を立てるのを防げれば、十分幸運と言えるだろう。