SHIBが1ドルに到達する可能性は？チェーン分析が示す現実

ミームコインから脱却できるか

Shiba Inuはドッグミームの系譜を受け継ぐが、単なるミームコインではもはやない。2020年の発売以来、時価総額を大きく変動させてきた。現在の価格は約0.000022ドル。多くのアナリストが「1ドル説」を唱えるが、その実現性を冷静に見つめる必要がある。

市場予測の全景

複数の分析機関の2024年予測を集計すると、以下のような見方が浮上している：

• DigitalCoinPrice：最高0.0000485ドル（現在比+117%）
• PricePrediction：0.000029～0.000033ドル（+30%～+48%）
• Telegaon：0.0000421～0.0000601ドル（+89%～+170%）

2025年の予測はさらに控えめ。最も楽観的なTelegaonでさえ0.0000728ドル（+227%）が上限だ。1セント（0.01ドル）への到達には、現在から約450倍のバリュエーションが必要。10年単位での議論になる。

Shibarium登場で何が変わったか

プロジェクトの転機となったのがShibariumレイヤー2ネットワークだ。先日、1日100万件の取引を突破。これにより：

1. トランザクション効率：ガス代削減、速度向上
2. バーン機制：取引ごとにSHIBトークンが焼却される仕組みが稼働
3. NFT生態：Shiba Inuインキュベーターがアーティスト支援

バーン率が加速すれば、流動供給量は劇的に減少する可能性がある。2021年、ヴィタリック・ブテリンが初期供給の90%を焼却したケースを考えると、供給圧縮が価格押し上げの主要なシナリオだ。

1ドル到達のシナリオ分析

楽観的シナリオ（可能性：低）

• 大規模なバーン実行により流通量が現在の1/100以下に
• ビットコイン同様の制度的採用が進む
• 暗号通貨市場全体が10倍規模に拡大

現実的シナリオ（可能性：中）

• 2030年までに0.001ドル前後（1セント手前）
• Shibarium活用が定着し、実用ユースケースが増加
• コミュニティ主導の開発が継続

慎重シナリオ（可能性：高）

• ミームコイン相場の冷却で0.00001ドル未満に後退
• 規制強化によりレイヤー2戦略が制約される

投資判断のポイント

SHIBの値動きは需給+心理+外部ニュースのトリニティで決まる。2021年のイーロン・マスク効果、RobinhoodやMcDonaldでの採用キャンペーン…こうした一瞬の社会現象が価格を大きく左右してきた。

ただし構造的な課題は残る：

• 流通供給量549兆枚という圧倒的な多さ
• テクノロジー面での競争優位性の不足
• ユーティリティの限定性

現状評価

「死んだか？」という質問への答えはノー。Shibariumの急成長、コミュニティの粘着性、バーンメカニズムの機能化…これらが複合すれば、数年単位での価格上昇はあり得る。

しかし1ドル説は楽観主義の極致。時価総額ベースで考えれば、時価総額2000兆ドルを超える規模の暗号通貨市場の出現を前提としている。

現在価格から見れば、2025～2030年で0.0001～0.001ドル帯への上昇が、技術進展とコミュニティ活動の現実的な射程だろう。それでも十分リターンは大きいが、1ドルへの期待値は慎重に調整すべき局面にある。