12月のグローバル市場で注目すべき大きなイベントが2つあります：FRB（米連邦準備制度理事会）が利下げを行う予定であり、日本銀行は利上げの可能性があります。

まずはタイミングについて。FRBはFOMC会議を12月9日〜10日に開催し、市場では利下げが広く予想されています。結果発表は米東部時間の10日午後2時、つまり日本時間では11日午前3時、パウエル議長の記者会見はその30分後に始まります。

日本銀行はその1週間後、12月18日〜19日に会合を開きます。決定はおそらく日本時間の19日午前11時前後に発表され、植田和男総裁の記者会見は午後3時頃に行われます。両会合の間隔は8日間、この間とその後に何が起こるか？正直なところ、誰にも分かりません。

**一番怖いのは何か？** ブラックスワンが円に潜んでいます。もし日銀が予想以上の利上げを行えば、世界の資本市場は一気に崩壊する可能性があります。

なぜ円の利上げが世界的な暴落を引き起こすのでしょうか？理由は簡単です——過去20年以上、円金利はほぼゼロで、世界中のヘッジファンドは「円キャリートレード」を活用してきました。超低コストで円を借りて、その資金を米国株、米国債、新興市場、さらには暗号資産に投資して利ざやを稼ぐ。このスキームの前提は「円が永遠に安いこと」です。

もし突然大幅な円利上げがあれば、借入コストが急上昇し、これらのレバレッジ資金は一斉にポジションを解消しなければなりません——米国株を売り、米国債を投げ売り、リスク資産から資金を引き上げ、ドルを売って円に戻し借金を返済する。その時、どんな資産を持っていても売り圧に巻き込まれる可能性があります。昨年8月の予想外の円利上げでグローバル市場が瞬間的に暴落したのを覚えていますか？

**では、なぜ日銀はFRBと逆の動きをしようとしているのでしょうか？**

表向きはインフレ圧力です。日本国内の物価は2年間上昇し、賃金交渉も進展、日銀はこの機にマイナス金利時代からの脱却を狙っています。しかし、より深い理由は——円安があまりに進行したことです。FRBが積極的に利上げし、日銀が動かなかった時期、ドル円は一時150円を突破し、日本企業の輸入コストが爆発的に増加、国民の不満が高まりました。利上げは円高をもたらし、輸入インフレを和らげる効果があります。

ですが、この動きをアメリカが許すのでしょうか？FRBは利下げサイクルを始め、金融緩和で景気を刺激したいタイミングです。日本がここで利上げをして流動性を引き締めるのは、アメリカの血管から血を抜くようなもの——大量のドルが日本に戻り円資産を買う動きになります。トランプ政権が最も嫌ったのは「他国が為替操作で自国に有利な状況を作る」ことです。

**では、今後2週間どうすべきか？**

いくつかのアドバイス：
1. ポジションを重くしすぎない。12月の2つの会議前後はボラティリティが確実に高まるので、軽いポジションで安眠を確保しましょう。
2. 円の動向に注目。ドル円が急落（円高）したら、キャリートレードの巻き戻しシグナルで、リスク資産が圧迫されます。
3. キャッシュを用意。予想を超える利上げがあれば、絶好の押し目買いチャンスになるかもしれません——ただし、手元に現金があることが前提です。
4. 無闇に押し目買いしない。パニック的な下落は何度も波があり、最初の下げで飛びつくと、その後の下げで大きな損失を被ることがあります。

12月はあと半月、まずは手元の資産をしっかり守ることが大切です。市場というものは、チャンスに見える時こそ、実は罠が口を開けている瞬間かもしれません。