なぜ今回の相場ではアルトコインシーズンの気配を感じられないのか？端的に言えば、「大統領コイン」のやり方に完全に翻弄されたからだ。

以前のアルトコインはどうやって盛り上がってきたのか？それにはプロセスがあった。プロジェクト側がじっくりと仕込んで、時価総額を数十万から数百万へ、さらに数千万、数億へとゆっくり育てる。途中で何度も調整や洗い替えをし、個人投資家を巻き込み、マーケットメイカーも参入し、何度も「カモ」を刈ってはコインを集める。こうした展開が半年、時には1年単位で続くのが普通だった。SHIBの時も、PEPEが盛り上がった時も、どれも時間と忍耐で徐々に育てられてきたものだった。個人投資家にはじっくり観察したり、FOMOしたり、高値で追いかけたりする十分な時間があった。これこそが本当の「シーズン」だ。

ところが大統領コインは、いきなりテーブルをひっくり返した。たった2日で時価総額を80億まで一気に押し上げた——これはどういう意味か？いくつもの老舗プロジェクトを一瞬で抜き去る規模だ。初期にトークンを手に入れた人たちは、みんなが反応する間もなくすでに利確して抜けている。後から入った人たち？みんな損切り要員だ。価格はあまりにも早く、そして高く駆け上がり、一般の人がゆっくり参加する余地など全くなかった。「熱狂に乗せられる」どころではない。高値で一気に売り抜けて、残ったのは恐怖と損切りだけ。こんなやり方で長期保有者が育つわけがない。夢のまた夢だ。

最も致命的なのは、この事例が示した悪い前例だ。業界の人たちは、大統領コインがアルトコインシーズン本来の熱量を全て吸い尽くし、大勢のフォロワーを一気に損させる様子を目の当たりにした。誰もが簡単にアルトコインに手を出せなくなった。外部の人たちも、面白がって様子を見ようとしたが、これで腰が引けてしまった。本来ならじわじわ盛り上がるはずのアルトコイン相場も、スタートラインでいきなり踏みつぶされてしまったのだ。